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無料サンプルを読んでみる7編それぞれが日常から半歩はみ出す短編集
犬上いの字先生の『Kiss Kiss SeXXX』は、2026年8月末に出たばかりの単行本です。263ページに7編が収められていて、セフレ同士の3P、上司と部下、夫公認のセカンドパートナーなど、どの話も「日常から半歩だけはみ出した関係」を切り取っています。宣伝文句は“未踏の快楽の扉”と勇ましいのですが、読み終えた印象はもう少し穏やかでした。登場人物たちが自分の欲に少しずつ素直になっていく様子を眺める一冊、というのが私の受け取り方です。
軸になるのは前後編「シェアセックスフレンズ」
冒頭の前後編は、舜とセフレの杏沙、そこへ紹介された友人の詩音という三人の話です。杏沙がまだ許していないキスを、詩音があっさり解禁してしまう。その一件で三人の空気が一気にぎくしゃくするのですが、私はこういう気まずさの描き方にめっぽう弱いんです。後編で仲直りに向かうまでの数ページは、気づけば三回ほど読み返していました。嫉妬がきれいに消えるわけではなく、それを抱えたまま三人で次へ進む落としどころになっていて、よくある3Pものとはそこが違うと感じます。
犬上いの字先生の「脚」と「匂い」
「女体美職人」という呼び名のとおり、体の線にはかなりのこだわりが見えます。『夕立を纏って』の女上司はストッキング越しの脚がほぼ主役で、仕事に自信をなくした部下を慰めるという落ち着いた話なのに、ページをめくる手がつい止まってしまいました。『キンモクセイ』は、ミステリアスな先輩が実は匂いフェチだったという一点で転がっていく話。フェチの向きがはっきりしている作家さんなので、脚や匂いに反応する方ならそれだけで元が取れるでしょう。
好みが分かれそうな『溢れ、滴る』
一方で『溢れ、滴る』は、夫公認でセカンドパートナーと関係を持つ人妻の話です。夫婦で合意したうえでの関係とはいえ、どこか後ろめたい空気が漂うので、ここは読む人を選ぶと思います。ただ正直なところ、7編のなかで私にいちばん長く残ったのはこの話でした。ほかの話が明るい分、一冊のなかに良い陰影をつけてくれています。
値段に見合うかどうか
1705円は短編集としては少し高めに見えるかもしれません。それでも、試し読みで絵柄が合うと感じたなら、263ページ分の満足感はきちんとある一冊です。ネトゲのフレンドに会ってみたら陽キャ女子だった『グッドゲーム・グッドデイ』のような軽い話も混じっていて、その日の気分で一話ずつ拾い読みできるのも短編集ならではの良さ。FANZAのレビュー平均4.83という数字にも、読み終えてみて素直に納得がいきました。
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ここが良い!
- + 前後編の『シェアセックスフレンズ』で、3人の気まずさから仲直りまでを追える
- + ストッキング越しの脚や匂いなど、作者のフェチが迷いなく出ている
- + 明るい話と陰のある話が混ざっていて、7編を続けて読んでも飽きない
こんな人におすすめ
- 脚フェチ・匂いフェチの描写に反応する方
- 年上の女性や女上司が相手の話が好きな方
- 一話ずつ気分で拾い読みできる短編集を探している方
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